
主要クラウドプロバイダーの生成AIサービスを比較
- Cloud networking
- 2024年7月30日
AIの選択肢の多さに迷わず比較できるよう、AWS、Azure、Google Cloudの 主要な生成AIサービスをまとめてご紹介します。
目次
この2年間、クラウド分野をはじめ、さまざまな領域で生成AIサービスが急増しました。主要クラウドサービスプロバイダー(CSP)は、モデル構築に必要なリソースを自ら提供しているため、この動きを主導するうえで有利な立場にあります。また、その顧客もAIをいち早く採用し、積極的に活用する傾向があります。
周囲の動きに押され、あらゆるソリューションを急いで導入したくなるかもしれません。しかし、生成AIの価値を十分に引き出すには、戦略的な意図を持って選択し、統合することが重要です。そこで、主要3社のクラウドプロバイダーが提供する、押さえておきたいAI製品と拡張機能をまとめました。
新しい製品や機能は継続的に開発されているため、網羅的な一覧ではありません。最新情報は各リンク先をご確認ください。
Amazon Web Services
AWSはこの分野の先駆者ではなかったかもしれませんが、AIへの投資を拡大し、製品群のほぼあらゆる領域にAIを取り入れてきました。
提供内容を理解しやすくするため、AWSは「顧客体験の刷新、生産性の向上、成長の加速」につながるユースケースも紹介しています。
Amazon Bedrock
Amazon Bedrockは、さまざまなアプリケーションを構築、公開、実行するための、安全で共同作業しやすい環境を提供する、サーバーレスのフルマネージドサービスです。
Amazonや主要AI企業の基盤モデル(FM)を単一のAPIで管理し、アプリケーションで利用できます。活用の可能性は広がり続けています。
これらのモデルを試して評価し、自社のシステムとデータを使ってタスクを実行する、独自の生成AIアプリケーションやエージェントを構築できます。サーバーレスのためインフラ管理は不要で、使い慣れたAWSアプリケーションを活用すれば統合も容易です。
さらに、検索拡張生成(RAG)によって、実行時のプロンプトに社内の独自データを追加し、モデルが最新の情報を活用して、より良い結果を出せるようにします。
アプリケーションでAIをすぐに活用したいものの、基盤インフラの管理に不安がある場合は、Bedrockを試してみてください。無料デモから始めることもできます。
Amazon Titan
Amazon TitanはBedrockプラットフォームの一部ですが、Bedrockとは異なりサーバーレスではなく、インフラの管理も利用者が行います。その代わり、AIを活用するネットワークアプリケーションを全体にわたって設計・構築できます。
Amazon Titanの基盤モデルはAWSが独自に開発したもので、汎用テキスト、マルチモーダル、画像モデルがあります。カスタマイズすることも、そのまま利用してテキスト・画像生成、セマンティック検索、RAGなどに活用することもできます。
独自のネットワーク要件があり、AIインフラを自社で管理する準備ができている場合、TitanはAIアプリケーションを企業全体に組み込むための有力な選択肢です。
Amazon SageMaker
独自の機械学習(ML)モデルを構築、学習、デプロイしたい場合、SageMakerは「高性能で低コストのMLを大規模に」提供することを掲げています。
このフルマネージドでスケーラブルなサービスは、豊富な開発ツールを備えた統合開発環境(IDE)を提供し、大規模なモデル管理を支援します。開発者以外の利用者向けに、コード不要のインターフェースもあります。
データエンジニアは、付属ツールで基盤モデルを一から作成したり、数百の既存モデルから選び、高度な手法でパラメーターを細かく調整したりできます。
活用のヒントとして、他のお客様の利用方法もご覧ください。
Amazon Q
Amazon Qは生成AIを活用する高度な仮想アシスタントです。Amazon Q BusinessとAmazon Q Developerという2つの主な機能で、複数段階の計画や推論をさまざまな用途に活用できます。
Amazon Q Businessは、大規模言語モデル(LLM)を使う仮想アシスタントです。社内システムのデータへのアクセスを許可すると、質問への回答、要約、コンテンツ生成、従業員向けタスクの安全な実行に利用できます。
40種類以上の一般的な業務ツールに安全に接続し、複数の情報源を集約して理解することで、社内のナレッジ管理を向上させます。調査や事実確認の時間を短縮し、生産性向上が期待できます。回答には出典も付くため、従業員が情報を確認できます。
セキュリティ対策として、利用者がプラットフォーム外でもアクセス権を持つデータだけを提供するよう設計されています。
プログラミング向けのAmazon Q Developerは、コード生成、テスト、アプリケーション更新、エラー診断、デバッグ、セキュリティスキャンと修正、AWSリソースの最適化などを実行します。
社内ポリシー、製品情報、業績、コードベースなどに接続すると、論理的な要約、傾向分析、データに関する対話ができます。CodeWhisperer機能はコードを解析し、文脈に沿った入力や追加内容を提案し、潜在的なセキュリティ問題を通知します。
Amazon Qは、Amazonのビジネスインテリジェンス(BI)プラットフォームであるQuickSightとも連携できます。Amazon Q in QuickSightは生成BIを利用し、アナリストが自然言語で対話しながらビジネス上の知見を探り、分析時間を短縮できます。経営層向け要約、文脈を踏まえたデータの質疑応答、カスタマイズ可能なデータストーリーなどで、分析と社内共有を支援します。
Amazon Qは拡張と他製品への統合を続けており、今後も「Q」を目にする機会が増えるでしょう。
その他の注目サービス
AWSの生成AI機能と連携をさらにご紹介します。

Azure
MicrosoftによるOpenAIへの支援で、Azureは市場をリードする生成AIサービスをいち早く展開しました。ただし、この提携だけに頼っているわけではありません。パートナーの強力な製品と並行して独自技術も開発・公開し、機能を拡大するとともに、クラウドネットワーク利用者のニーズに合わせています。
Azure OpenAI service
Azure OpenAI serviceは、Microsoft、OpenAI、Metaなどのモデルを利用して、生成AIアプリケーションや体験を構築できる多目的プラットフォームです。
業務の自動化、コンテンツや画像の作成、独自の仮想アシスタント構築、予測分析などを実現できます。モデルを細かく調整することも、そのまま利用してAzureと主要パートナーの機能を活用することもできます。
他のAzureサービスとの容易な連携、組み込みのセキュリティ、強力なAPIを活用し、顧客体験の改善、反復作業の自動化、企業データからの深い知見の獲得を実現できます。
Phi-3オープンモデル
汎用性と経済性を備えた言語モデルを探しているなら、Phi-3オープンモデルは低コスト・低レイテンシーの選択肢です。これらの小規模言語モデル(SLM)はLLMより計算資源を大幅に抑えられ、社内でのアプリケーション導入を持続可能なものにします。
Microsoftによると、Phi-3は「言語、推論、コーディング、数学の各種ベンチマークで、同規模および一段上の規模のモデルを上回ります。」次の4つをすぐに利用できます。
- Phi-3-mini:38億パラメーター
- Phi-3-small:70億パラメーター
- Phi-3-medium:140億パラメーター
- Phi-3-vision:42億パラメーター。テキストと画像に対応するマルチモーダルモデル。
クラウド、エッジ、デバイスにモデルを配置し、ローカル環境でオフライン運用したり、専門分野のデータでファインチューニングしたりできます。限られた単純なタスクで、性能を犠牲にせず生成AIを使いたい場合に適しています。
Azure Machine Learning
機械学習(ML)のライフサイクル全体を扱うデータエンジニアには、エンタープライズ向けのソリューションが必要です。Azure MLでは、専用の強力なAIインフラを利用し、スケーラブルなMLモデルを構築できます。
高度なプロンプトエンジニアリング、マネージドエンドポイント、対話型データ加工、全社で再利用できる特徴量の標準化などに対応します。継続的インテグレーションとデリバリーで、さまざまな業務のワークフローも自動化・効率化できます。
初心者向けではありませんが、必要なスキルがあれば、企業全体を支える強力なAI基盤を構築するツールが揃っています。無料で試し、機能を確認できます。
Azure AI Search
生成AIでは、特にテキストやベクトルを出力するアプリケーションで、情報検索が欠かせません。Azureはこの機能を裏方にとどめず、安全でスケーラブルなAI情報検索プラットフォーム、Azure AI Searchを開発しました。
Azureは、「Azure AI Searchは、コストやパフォーマンスを犠牲にせず、高度な検索技術と豊富な機能を備えたエンタープライズ対応の検索システムを提供します。」と説明しています。
AIアプリケーション向けにデータを集約・検索する方法を広げます。
- ベクトル検索に加え、キーワード一致のスコアリング、再ランキング、地理空間検索などを利用できます。
- Azureとサードパーティのさまざまなデータソースから自動的にアップロードできます。
- 抽出、チャンク分割、情報付加、ベクトル化を単一フローにまとめます。
- 多機能なベクトルデータベースが、複数ベクトル、ハイブリッド検索、多言語、メタデータフィルタリングに対応します。
- 暗号化、安全な認証、ネットワーク分離を備えています。
さまざまなアプリケーションやフレームワークと統合し、大規模なRAGワークロードを管理して、デプロイまでの時間を短縮できます。
まずは検索サービスの作成方法をご確認ください。
Azure AI Content Safety
この記事で紹介する各CSPは、責任あるAIへの取り組みとして、安全性とセキュリティの機能を組み込んでいます。プロンプトエンジニアリングの基本ルールへのベストプラクティスの適用から、不適切なテキスト入力や画像要求の検出・拒否まで、幅広く対応しています。
Azureはさらに、高度なコンテンツ安全性システムを提供し、AzureのAI製品群に簡単に組み込めるようにしています。基盤モデルと人間が生成した出力を監視し、品質問題やリスクを検出・フィルタリングし、脅威をブロックします。
Azure AI Content Safetyは、次を目的としています。
- 不適切で有害なコンテンツの検出とフィルタリング
- プロンプトインジェクション攻撃の検出とブロック
- 根拠のない内容やハルシネーションの特定
- 著作権で保護されたコンテンツの識別と保護。
特定キーワードのブロックリストなど、自社の基準やポリシーに合わせて機能を調整・拡張できます。より高度なカスタマイズには、Azure AI Content Safety APIを活用してください。
その他の注目サービス
AzureとMicrosoftの生成AI機能と連携をさらにご紹介します。
- Microsoft CoPilot in Azure:クラウドからエッジまで、運用と管理を簡素化するAIアシスタントです。
- GitHub CoPilot in Azure:VS CodeのGitHub Copilot Chatと連携する拡張機能です。
- Azure AI Speech Analytics:音声・動画を文字起こしし、さまざまな機能で出力を拡充するサービスです。
- Dall-E 3:複数のMicrosoft AI製品に統合された、OpenAIの画像生成ツールです。
- ChatGPT:すでにお使いの方も多いでしょう。こちらも複数のMicrosoft AI製品に統合されています。

Google Cloud
GoogleはAIを製品の中核に位置付けており、その姿勢は提供する製品や拡張機能の多さにも表れています。
最先端の研究と実用性を両立させ、AIの進歩を理論だけにとどめず、ユーザー体験の改善につなげるアプローチです。
Gemini
以前はBardと呼ばれていたGemini for Google Cloudは、強力なAIアシスタントです。次のような機能があります。
- Gemini Code Assist:開発者向けの多機能コーディングアシスタント
- Gemini Cloud Assist:アプリケーションのライフサイクル管理プラットフォーム
- Gemini in Security:脅威の検出・対応を支えるインテリジェンスプラットフォーム
- Gemini in BigQuery:Google Cloudのフルマネージドデータ分析プラットフォームに自動化を追加
- Gemini in Looker:自然な会話でデータから知見を引き出すインテリジェントアシスタント
- Gemini in Databases:データベース開発アシスタント。
いずれもすぐに利用でき、会話形式で機能を活用できます。自社のGoogle Workspaceに統合し、組織全体に機能を広げることもできます。
Vertex AI
Geminiが使いやすさを重視する一方、Vertex AIは制御とカスタマイズを重視します。GoogleのMLプラットフォームでモデルやAIアプリケーションを大規模に学習・デプロイし、LLMをカスタマイズして独自のAIアプリケーションに組み込めます。
Vertex AIでは、次を利用できます。
- テキスト、画像、音声などのGoogleの生成AIモデル。カスタマイズして独自アプリケーションに利用できます
- AutoML:さまざまなコンテンツの識別やラベル付けを自動化する、コード不要の学習プラットフォーム
- MLモデルの学習を全面的に制御できる、マネージド型のカスタムトレーニングサービス
- Model Garden:独自モデルとオープンソースモデルを揃え、Vertex AI上で利用・調整できるGoogleのMLモデルライブラリ。
- Codey APIs:コーディング作業を支援・効率化するAPIモデル群。
フルマネージドでカスタマイズ可能なMLOpsツールや、追加のVertex機能も利用し、モデル構築と共同作業の方法を広げられます。AIアプリケーションの実行に関する幅広いニーズに対応する、包括的なソリューションです。
Gen App Builder
時間やリソースが限られていても、検索や会話型AIで顧客体験を改善したいなら、Gen App Builderを試す価値があります。豊富な機能を備えた開発ツールで、ネットワークインフラのオーケストレーション層にAIを導入し、コード不要の開発とデプロイを支援します。事前構築済みのワークフローも含まれます。
社内各所のデータセットを取り込み、統合した出力によって、社内業務、顧客向けサービス、Webサイトへのアプリケーション統合を容易にします。最小限の労力で業務効率と顧客体験を向上できます。
その他の注目サービス
Google CloudとGoogleの生成AI機能と連携をさらにご紹介します。
- Google DeepMind:Googleの幅広いAIプロジェクトやプラットフォームを担うAI研究子会社
- PaLM 2:高度な多言語、推論、コーディング機能を持つ次世代言語モデル
- Chirp on Vertex AI:100以上の言語を文字起こしできる、Vertex AIの汎用音声モデル
- Imagen on Vertex AI:アプリケーション開発者向けの画像生成AI機能
- Vision AI:コンピュータービジョンと他の技術を組み合わせ、動画分析や視覚検出機能のアプリケーション統合を行うツール群。
まとめ
ハイパースケーラーのAIツールは、さまざまなビジネス成果を加速する有効な手段です。ワークロードが大きくなり、特定の地域にデータが蓄積されるにつれ、強固な接続戦略が重要になります。
データセットが複数拠点に分散し、最適な結果のために多様なツールを組み合わせる場合、各社の主要AIツールへ直接アクセスできるスケーラブルなプライベートネットワークが鍵になります。管理負荷を減らし、運用効率と成果獲得のスピードを高められます。
Megaportのプライベートネットワークなら、低レイテンシーの基盤ネットワーク上で、世界数百拠点にAIツールを拡張できます。詳しくはこちら。
Megaport AI Exchange
他のITシステムと同様、AIもコンピューティングインフラ上で動作します。AIアプリケーションのパフォーマンスは、そのインフラと各要素を結ぶ接続に左右されます。
Megaport AI Exchange(AIx)は、マーケットプレイスで利用できるサービスプロバイダーのエコシステムで、Megaportネットワークにシームレスに統合できます。かつてクラウドで実現したように、AIxでもAIインフラ、ワークロード、プロバイダーを、プライベートでグローバルかつスケーラブルなバックボーン上に相互接続します。
他のMegaportソリューションと同様に、自社の構成や要件に最適化されたネットワークを、グローバルなプライベートバックボーン上で設計・制御できます。
AIxプロバイダーへの接続は、マーケットプレイスの他の接続先と同じ手順で簡単に行えます。AIサービスプロバイダーはAIxに参加することで、数千の新しい顧客へサービスを提供でき、顧客は60秒以内に接続できます。
Megaport AIxを詳しく見る






